墓地から移り変わる森の姿 その1

樹木葬墓地区画は、かつての薪炭林を基盤とした混交林と
霊園造成時に植林された杉林でした。

この地をやがて本来的な植生の見られる森へと還していくために、
植生遷移に基づいたプログラムを検討し、
そのきっかけとなる環境整備を行ったのがこの樹木葬墓地です。
今あるものを活かし、作り替えるのではなく見守り育てていくことを
基本的な考え方としています。
それが墓地としての管理につながり、森を再生する手助けともなります。
また、ゆっくりと森を見守ることが故人への弔いとなるのではと考えます。

樹木葬墓地には

・混交林保存エリア
・杉林皆伐エリア
・杉林間伐エリアが

の3つのエリアありますが、
今回は、開園当初から木だち・木もれび区画として募集しており
今年も募集予定となっている混交林保存エリアについてお話します。
混交林保存エリアでは既存の森を守って行きます。

霊園が造成されるより前、
かつて里山の薪炭林として利用されていた頃の面影を残すエリアです。
大きく生長したクヌギやコナラのほか、
サクラやモミジなどで構成された美しい落葉樹林ですが、
よく見ると枯損木が目立ちました。

そこで、将来的に墓標になる苗木を植えて、樹林の更新準備をしました。
100年後には生長した苗木の子孫木も芽生え、
また少し薄暗くなった森の林床から常緑樹の生長も垣間見られると考えます。

【変遷のイメージ】
◆開園~50年後◆
 墓地として管理する期間

墓地管理の一環として外来植物の除伐や下草刈りなどを行いながら、
既存の幼木や新植の苗木を見守ります。

◆50年~100年後◆
墓地利用を継続しながら、自然の森へと移行させる期間

幼木や苗木が育ち徐々に樹林が更新されると共に、
林床の下草や落ち葉を残すことで土壌を豊かにしていきます。

◆100年~◆
墓地としての役割を終え、本来的な植生の森へと遷移が進んでいく

豊かになった土壌からはより多くの実生木も見られるようになり、
かつての自然の森に近い形へと移り変わっていきます。

また別の機会に、杉林皆伐エリア、杉林間伐エリアについてもお話したいと思います。

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